「普通の日々を、当たり前に送りたいかな?」 それが君の口癖だった。 普通にご飯を食べて、お風呂に入って、眠って 学校に行って、友達と笑って、恋をして そんな当たり前を、君はいつも大切にしていた 人身事故により、電車が遅れるというアナウンスが流れ、舌打ちをする人間、欠伸をする人間と様々。 けれど、事故にあった何処かの誰かを慈しむ人間は一人もいなかった 少し遅れて電車がやってくる。ガヤガヤと喧騒に飲まれつつ電車に乗り込んだ 窓の方に寄りかかり、流れていく風景を見つめる 今、何処かで誰かが死んだかもしれない 例えば、僕にそれが止められたとして その人を止める資格が、僕にはあるんだろうか どれだけ傷つき、悩み、痛みを抱えて苦しんだのか のうのうと生きている僕に。優しい人を装って置かれた花に手を合わせて そんな僕に、誰かの気持ちが分かるわけない ……だって、君の痛みにも気付けなかったんだから そんな事を考えている僕や、苦しんでいる誰かや、そんな人間を鬱陶しく思うその他大勢の居るこの世界は 知らん顔をして今日も回っている